「場合」「とき」「時」の用法

概要

「場合」と「とき」は仮定的条件を定める場合に用います。

「場合」は、既に規定された事項を引用する包括的な条件を示す場合(例えば「●条●項に規定する場合において」など)にも用います。

「時」は、具体的な時点や時間が問題になる場合に用います。

「場合」と「とき」の用法

仮定的条件が1段階の場合には、「場合」又は「とき」を用います。語感や文脈で適宜使い分けられています。

事業を譲り受けた会社(以下この章において「譲受会社」という。)が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、その譲受会社も、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負う。

会社法22条1項

会社の本店又は支店の事業の主任者であることを示す名称を付した使用人は、当該本店又は支店の事業に関し、一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。

会社法13条

仮定的条件が2段階の場合には、大きい方の条件に「場合」を用い、小さいほうの条件に「とき」を用います。

1 前二条の規定は、募集株式を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合には、適用しない。

2 前項に規定する場合において、募集株式が譲渡制限株式であるときは、株式会社は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、同項の契約の承認を受けなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。

会社法205条

「時」の用法

具体的な時点を定める場合には、「とき」ではなく「時」を用います。

前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであったに、到達したものとみなす。

会社法203条7項

留意点

仮定的条件が1段階の場合/ときに「場合」と「とき」のいずれかを用いるかについて、特段の決まりはなく、語感や文脈で判断することになる。

参考文献

吉田利宏『新法令用語の常識』(2014、日本評論社)10頁以下

法制執務研究会編『新訂 ワークブック法制執務 第2版』(2018、ぎょうせい)786頁以下

石毛正純『法制執務詳解〔新版Ⅲ〕』(2020、ぎょうせい)643頁以下

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