概要
いずれも併合的接続詞であり、英語の「and」に相当します。
「及び」と「並びに」の用法
併合的接続が1段階の場合には「及び」を用います。
会社の設立、組織、運営及び管理については、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。
会社法第1条
併合的接続が2段階以上の場合には、「及び」と「並びに」を用います。
一番小さな接続のみ「及び」を使い、それ以外の接続については、「並びに」を用います※。
※例えば、併合的接続が3段階の場合、1番大きい階層と2番目の階層において「並びに」を用いることになり、1番大きい階層で用いられる「並びに」を「大並び」(おおならび)、2番目の階層で用いられる「並びに」を「小並び」(こならび)ということがあります。
金銭以外の財産を出資の目的とするときは、[その旨並びに〈当該財産の内容及び価額〉]
会社法199条1項3号
上記の例では、「その旨」と「当該財産の内容及び価額」が大きな接続となり、「当該財産の内容及び価額」において、当該財産の「内容」と「価額」が小さな接続をしていることになります。
留意点
接続する語句が2つのときは原則として読点をつけません。
ただし、接続する語句が、動詞、形容詞、又は副詞の場合は、接続が2つのときでも読点をつけます。
調査機関は、法務省令で定めるところにより、調査記録又はこれに準ずるものとして法務省令で定めるもの(以下この条において「調査記録簿等」という。)を備え、電子公告調査に関し法務省令で定めるものを記載し、又は記録し、及び当該調査記録簿等を保存しなければならない。
会社法955条1項
接続する語句が3つ以上のときは最後の2つの語句のみを「及び」「並びに」でつなぎ、それ以前の接続は読点をつけることによって行います。
指名委員会等設置会社 指名委員会、監査委員会及び報酬委員会(以下「指名委員会等」という。)を置く株式会社をいう。
会社法2条12号
参考文献
吉田利宏『新法令用語の常識』(2014、日本評論社)14頁以下
法制執務研究会編『新訂 ワークブック法制執務 第2版』(2018、ぎょうせい)722頁以下
石毛正純『法制執務詳解〔新版Ⅲ〕』(2020、ぎょうせい)588頁以下