日本公認会計士協会は、2021年8月12日、不正にeラーニングを受講した会計士に対して懲戒処分を決定した旨、公表しました。
会長声明「継続的専門研修制度の適切な運営の確保について」 | 日本公認会計士協会 (jicpa.or.jp)
当該eラーニングは、公認会計士法にその基礎があるCPE制度(継続的専門研修制度)にて求められるもので、上記の不正は公認会計士への信頼を揺るがしかねないものとして厳しく処分されています。
企業においても、オンライン研修を設けているケースは多いですが、その研修が実を成しているかという点には留意が必要です。
容易に不正し得るシステムになっている場合、当該研修による従業員の能力向上という目的が達成されないのみならず、従業員が不正に慣れるというあるまじき空気感を生み出しかねません。
他のエントリー(以下ご参照)でも言及しているところですが、社会問題となるような規模の大きな不正は、規模の小さな不正から始まることが多く、オンライン研修がそのきっかけとならないよう留意する必要があります。
弁護士についても、コロナ禍で、従前は物理的に開催されていた研修がオンラインにて開催されるケースが増えており、不正な方法(あるいは、そのように疑われかねない方法)でオンライン研修を受講することがないよう十分に注意する必要がありまます。
働き方改革とは一定の距離感のある士業においては、手持ちの業務を多く抱えている中で、何とか業務を一時中断させてオンライン研修に望んでいるケースが多いように思われますが、資格業への信頼を成す根幹として、真摯に対応することが求められます※。
※僭越ながら、各業界においては、このような状況を真摯に受け止め、時間を割くに足りる充実した講義となるような工夫が必要だと思います。例えば、テキストやパワーポイントをひたすら読み上げるという、何処かの国のトップのような授業でいいのか?という視点は必要なように思われます。読み上げによる講義は聞き手にとっても理解しにくいものであり、業界を支える士業の貴重な時間を預かっているという姿勢は欠かすことができないように思います。リアル開催に比べるとオンライン研修は不正がし易いことは否めませんので、オンライン研修の主催者側・受講者側がより一層真摯な態度で当該研修に望むことが求められるのではないでしょうか。